2025年6月13日早朝(現地時間)、イスラエルがイランに対して前例のない大規模な空爆作戦「Operation Rising Lion」を開始し、中東地域は一気に緊迫の度を高めた。これを受けてイランも同日夜に報復攻撃を開始し、全面的な軍事衝突が現実となっている。単なるリスクではなく、“すでに始まっている戦争”として、日本にも深刻な影響を及ぼす可能性がある。特にホルムズ海峡の封鎖リスクは、エネルギーを輸入に依存する日本にとって国家的危機となり得る。

イスラエルとイランの軍事衝突──何が起きたのか

6月13日未明、イスラエルはイランの核関連施設や軍事インフラに対して大規模な空爆を実施。ナタンツを含む複数の都市が標的となり、衛星情報によると約200機以上の戦闘機が動員された。

イラン政府の発表によれば、攻撃により科学者や軍関係者を含む78人が死亡、300人以上が負傷したとされる。その日の夜には、イランが報復として弾道ミサイルと無人機による報復攻撃をイスラエルに対して行い、テルアビブやハイファなどでは空襲警報が鳴り響いた。

国際社会は即時停戦を呼びかけているが、両国ともに強硬姿勢を崩しておらず、現段階ではさらなる軍事エスカレーションの可能性が高いと見られている。

ホルムズ海峡とは──なぜ重要なのか

ホルムズ海峡は、ペルシャ湾とアラビア海をつなぐ戦略的海域であり、世界の原油の約20%がこの海峡を通じて輸送されている。特に日本にとっては、中東産原油の約8割がホルムズ海峡を通過しており、同海峡の封鎖はエネルギー供給の寸断を意味する。

イランは過去にもアメリカとの対立時に「ホルムズ海峡を封鎖する」と明言した経緯があり、今回のような全面衝突時に実際に封鎖を実行する可能性は現実的である。

封鎖されればどうなるか──日本への直接的打撃

ホルムズ海峡が封鎖されれば、ただちに原油・LNGの輸入が停滞し、以下のような影響が生じる:

  • 原油価格の急騰(WTI原油はすでに一時7%上昇)
  • ガソリン・灯油・電気料金の高騰
  • 食料品・日用品の値上げ(物流コスト上昇)
  • 製造業のコスト増による価格転嫁
  • 消費の冷え込みと景気後退

日本政府は国家備蓄として約200日分の石油を保有しているが、有事の消費ペースでは“買えない恐怖”が先行し、価格高騰や買い占めが起きる可能性もある。

日本政府の対応力──危機管理は間に合うか

このような国際危機に対し、日本政府は即時の情報収集とエネルギー安定供給対策を講じる必要がある。具体的には:

  • 国家備蓄の戦略的放出
  • 価格統制措置や緊急補助金
  • オーストラリア・米国・東南アジアからの代替輸入契約
  • LNG船・タンカーの優先配備

だが、過去の対応を見る限り、日本の政治判断は「静観」「後手」に回りがちである。中東有事のたびに「遠い戦争」として無関心でいられた時代は、すでに終わったと認識すべきだ。

国民生活への影響──自分ごととしての危機

この軍事衝突は、単なる外交問題ではない。私たちの日々の生活に直接影響する。たとえば:

  • 冬の暖房代が高騰し、生活費が圧迫される
  • 通勤・通学の交通費が上がる
  • 電力・ガス会社の料金値上げ
  • 企業倒産・雇用不安の増加

エネルギー危機が長期化すれば、「節約疲れ」と「生活不安」が国民に重くのしかかる。企業・自治体・家庭が備えるべきフェーズに、すでに入っていると言える。

結論──今起きていることを“知る”ことから始めよ

イスラエルとイランの軍事衝突は、もはや可能性ではなく現実だ。ホルムズ海峡封鎖のリスクも現実的であり、日本の経済・暮らし・外交すべてに重大な影響を与える。

情報を正しく知り、自ら備えること。これは国や企業だけでなく、個々人の責任でもある。危機は遠くにあるのではなく、すでに目の前にある──そのことを、今こそ我々は真剣に考えねばならない。